大正時代に養蚕部屋として建てられ、その後市川家の自宅として、現在は自宅兼お茶の販売と学びのスペースとして使われています。平成12年に日本茶インストラクターを取得したのを契機に、毎月開催されるOCHA講座、季節ごとに開催される手もみ体験講座、栗きんとん講座、かんたん金継ぎ教室など、茶亭市川の土間は学びと愉しみの空間として利用されています。
中山道沿いという立地から、旅をする外国人も多く立ち寄り、お茶、栗、柿、和菓子、地歌舞伎などの理解を深める時間を楽しみます。

建設から90年の時を経てリニューアルした茶亭市川は、中山道の景観を損なうことのないよう外観にも配慮しました。前面の格子、側面の鎧張り、外壁・内壁の漆喰など伝統的な素材と技術でシンプルに仕上げました。

ここは中山道中津川宿から1㎞ほど西方の河岸段丘を上ったところ、恵那山から緩やかに広がる扇状地に位置しています。過去にはその扇状地の伏流水が湧き出る清水が多く存在しており、現在も井戸水が豊富に湧き出る豊かな地域です。中山道沿いの家々には豊富な水を利用して、海の幸の乏しさを補うために池を作り鯉を飼う風習があります。鯉のあらいや甘露煮などは最高のおもてなし料理として各家庭で作られていました。

中山道と建物の間に位置する池を中心とした庭は、もともと四代目淳一が作庭したものですが、平成22年に庭師古川乾提氏によってリニューアルされました。古川氏は中山道と建物の間にある庭は隔てるものではなく繋ぐものであるという考えに基づいて、「真ん中」と命名しました。完成してからは、古川氏が提案した通り、中山道を行きかう旅人は暫しの休息をとり、学生さんは帰り道で語らい、子供たちは庭を駆け回るようになりました。

毎月開催される(現在はコロナ対策のため休止中)OCHA講座では、日本茶を中心に世界中のお茶に触れることができます。
季節には、お茶の手摘み手もみ製茶体験、栗拾い&栗きんとん講座、簡単金継ぎ教室などを開催しております。

江戸時代から中山道は人と物と文化を運ぶ幹線道路でした。現在では古(いにしえ)の歴史街道として国籍を問わず多くの人が行き交います。特に外国からの方々は、中山道とそこに暮らす人の生活、風習、文化に深く興味を持っています。

お茶と栗と干し柿をはじめ多様な文化の発信をしていきたいと考えます。そのひとつに、地歌舞伎(地方の素人歌舞伎)があります。岐阜県には30を超える歌舞伎保存会があり、中津川市には6つの保存会があります。古い芝居小屋も県内に10棟あり、春秋にはいつもどこかで歌舞伎が上演されている地域です。この日本文化を広く知ってもらい、後世に伝えていくための取り組みもしております。

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